鈴木 優 土地親和論

鈴木優は、「土地親和論」を提唱し次世代における新しい社会創造のためには「地と人が一体であること」を実感することの大切さを説く。不動産鑑定士。不動産コンサルタント。

土地親和論 ‐ 熱海から見えてくるもの

先日熱海で大規模な土砂崩れが発生し、多くの犠牲者が出ました。

同時に被災者も数多く出て、大変多くの方々が悲しみにまたご苦労に苛まれることになってしまいました。

 

現在その原因を究明中ですが、ここで犯人捜しをするということはいたしません。

ただし、報道などによれば盛り土工事の不備がささやかれているようです。

 

そもそも熱海は平地が少なく、町の開発が進み新規の住宅供給が必要になった場合には、本来大勢の人の居住に適さない急こう配の山を切り崩していくしか道が残されていないという地域です。

その結果何十年も前から本来は居住に適さない急こう配の土地に別荘や旅館、ホテルなどが林立するという状態でした。

戦後の経済的価値の追求一辺倒、土地は人にとって金の生る木という対象でしかない、と言う「土地親和論」でいえばバランスがスコブル悪い想念のもと、人間と物質的価値面優先の開発が行われてきたということです。

 

こうした中土砂崩れのリアルタイムの衝撃的な映像を伴い、日本中いや世界中(これは大げさではありません、ユーチューブ等で検索してみてください。海外のニュースでトップニュース級の扱いで報道されている映像が幾つも出てきますので)の人々の目に焼き付く形で災害が起こってしまったということは、今後「地」と「人」のバランスの復活つまり人が地を敬い「地」と「人」が改めて調和を取り戻し通じ合うということの必要性も含めてなにがしかの教訓を残すべき出来事であることを示しているかに思われます。

 

これは迷信ととられる方も当然いようかと思いますが敢えて書きますと、今回土砂崩れが起こった伊豆山と言う場所は、古くは源頼朝から江戸の将軍に至るまで非常に重要視された伊豆山権現がある場所です。

いわば坂東(関東、特に首都東京)の守りの結界をひいているエリアと言う見方も出来る土地です。

私には今回の災害は、単に熱海だけの問題ということではなく関東特に首都東京、いや日本の首都に関わるということは日本全体に関わる教訓、ということを示していると感じられるものがあります。

そしてその示す意味は、単にお金のためだけ等の人優先の理論で「地」を加工し開発するという思想ではやがて立ちいかなくなってしまうということです。

そのことを満天下に知らしめるためにあの衝撃的な映像が撮られてとも感じられます。

 

私個人としては今回の災害に見て、改めて「人」は「地」に心を寄せ「地」とともに歩むという「土地親和論」の必要性重要性を強く考えるところとなりました。

やはり人と自然のバランスを復活することが重要であるという時期に来たということなのです。