不実がまき散らされる時代〜五感を働かせる(その2)
昨日の続きです。
実は今NHKオンデマンドなるもので中井貴一さんが主役をしていた大河ドラマ「武田信玄」を見ています(NHKオンデマンドは便利なもので、過去の大河ドラマが全部ではありませんが見ることが出来るのです)。
ドラマの舞台は戦国時代で主人公は当然武田信玄です。
ドラマの中で、武田信玄を巡る家族やその周辺の人物の物語、武田家臣の物語、そして信玄と隣国の大名や豪族との駆け引きや戦いの物語等が繰り広げられていきます。
大河ドラマですのでストーリーや役者の演技等は当然重厚な造りとなっていますが、その中でたびたび「らっぱ」というというセリフが出てきます。
「らっぱ」とは乱波と書くようで、忍者みたいなもの(忍者そのものをらっぱと言ったようでもあります)で、他国に忍び入り情報を収集したり、いわゆる怪情報を流して相手を攪乱したり、夜討ちしたりするのが役目だそうです。
ドラマでのらっぱの役割は、宿敵上杉謙信の越後との国境に放たれ、そこでいろいろな怪情報を流すものが多いようでした(劇中では大体、武田信玄が家臣の真田幸隆や山本勘助に「どこそこにらっぱを放ち、何々の噂流せい」等と命じています)。
その中で気が付いたのは、らっぱを使って嘘の情報や大げさな噂を流し、自分たちの姿を相手に実態よりも大きく見せて、相手の戦力を分散させたり疲れさせたり家臣の寝返りを誘ったりすることに有効に使っていることです。
武田信玄は上杉謙信に対してこのらっぱが放つ嘘情報により攪乱しようと努め、ある程度の成果を上げます。
しかし上杉謙信もさるもの、こういった武田信玄の仕掛けに対して、いわゆる第6感も駆使した奥深い洞察力をもって対抗していきます。
まさに、騙すか騙されるかが生きるか死ぬかに直結する戦国の過酷な時代の中で、手段を選ばない武田信玄たちの生きざまは現在の私達からしたら想像を超えた凄みがありまた格好良くもあり、というあたりはドラマの一つの見どころになっているのではないかと思います。
と、ここであることに気が付きました。
そうです、現在のネットの情報やSNSの中にも広告代理店やその周辺を中心としたいわゆる仕掛け屋による「らっぱ」が多く出没しているようなのです。
また昨今は主に芸能関係を中心として地上波のテレビなどでも、このらっぱがしばしば出没しているようなのです。
ですが、現代のらっぱは武田信玄たちに比べるとどうにもしまりがないのです。
それは「生きるか死ぬか」ではなく、「もっぱら目先の利や金や虚勢」のために活動している素人同然のらっぱが目立つからです。
では次に現在のらっぱの状況について考えてみたいと思います。
続く