遅ればせながら鬼滅の刃を見ました、劇場版ではなくテレビアニメの方ですけど(下)
鬼滅の刃のテレビ版のアニメつまり映画版の前の部分(この物語の始まりから映画の舞台になる列車に乗り込むまで)を一気に見ました。
感想。
月並みですが、想像以上に面白かったです。
「これは受けるわ」と思いました。
登場人物の魅力、ストーリー、アクションシーン、絵の展開、音楽等々この物語の魅力は多々あります。
その中で私の中で一番印象に残ったことは、物語の底流に流れ続ける自然との一体感とその中の光と影そして儚く悲しいが同時に美しくあり続ける愛とやさしさの存在感でした。
アニメの人気はオヤジのアニメファンが多くなっている今でも、なんだかんだ言って若者に支えられていると聞きます。
この物語がヒットするとは、今の若者も捨てたものではないと思いました。
映画もアニメと物語の底流に流れるトーンは変わらないとのことです(鬼滅の刃の世界観から言って、テレビ版のアニメを見ただけでもそのことは容易に想像できますが)。
ここまで濃厚な日本的情緒にあふれたテーマを背景に持った物語が海外でも大ヒットしたということは正直驚きです。
以前ユング心理学の大家である河合隼雄氏が日本人の深層に流れる心理について分析した書物の中で書いていました。
日本人は自然と同化し「美」を愛でる民族であると。
仮にその美がすぐに散ってしまう桜のように淡く儚いものであったとしても。
このような深層の心理は西洋では見当たらず、日本人独特のものだとのことです。
私はこの日本人独特の「美」の表現が鬼滅の刃の中にも濃密に流れていると感じました。
しかも、まだ映画を見ていませんので今のところ想像になりますが(十中八九この想像は正しいはずですが)、この日本的な美を愛でる心理が明らかに日本国内だけでなく海外でも広く一般的に受け入れられているようなのです。
国内の劇場版鬼滅の刃の大成功には、もちろん巧妙で効果的なマーケティング戦略があったことは確かです。
しかしこの成功の根底には上に書いたような人々の心の琴線に触れる日本的な何か(私は上に書いたように日本人独特の心理と価値観にあると仮定していますが)がこの物語の中にあるということを忘れてはいけません。
今後日本既存のコンテンツを活用するという観点からも、マーケティングセクターの功績の評価を一旦わきにおいて、鬼滅の刃という物語と日本独特の心理・価値観という視点からの考察が必要であろうと思いました(当然複数の方々が上で私が書いた視点で分析しているとは思いますが、私も映画を見た後改めて今の私の仮定が正しいか考察にチャレンジしてみようかと思っております)。
とりあえず今回は鬼滅の刃のテレビ版アニメを見た段階での中間報告ということで。
完