鈴木 優 土地親和論

鈴木優は、「土地親和論」を提唱し次世代における新しい社会創造のためには「地と人が一体であること」を実感することの大切さを説く。不動産鑑定士。不動産コンサルタント。

B/N 2020.11.30 何が高級? 高級住宅地の定義 その1

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世に高級住宅地なるものがあります。


私の居住している東京都内でも青山、麻布、番町、松濤等々。
私の生まれ育った神奈川でも、田園都市線沿線、鎌倉、逗子等々。


これらの場所は、もともと江戸時代の大名屋敷跡を起点とする山の手に立地した場所だったり、明治の別荘地を起点とした場所、鉄道会社の開発の成功例等、様々な流れの中で現在の高級住宅地の姿になってきたわけですが、この高級住宅地の多くに共通するものとしては、現在の高級住宅地の評価や姿になってきたのは土地の私有財産が広く一般庶民や社会に普及してきた戦後(特に高度成長期以降)であるということです。
もちろん番町など大名屋敷を起点とする場所は江戸時代から大名屋敷すなわち今風に言えば高級住宅街であったともいえるわけですが、それは当時の身分制度の上においての話で、現在とは比較不能です。
また戦前(特に大正期から昭和初期頃まで)から高級住宅地であったところも山の手の中ではあったわけですが、当時はまだ非常に大きな屋敷が連なる場所という(現在ではお屋敷が連なる程度に一軒ごとの面積は狭くなっている)色彩が強く、現在のようにここは坪○○万円もすることなどということが喧伝され、いつか住みたい場所、憧れの場所、等という色彩はあまりなかったようです。


ここまで長々書いてましたが、私が言いたいのは、高級住宅地という場所の評価は、意外と歴史は浅い(せいぜい50年以内、古くて100年程度)ということです。


では、今後現在の高級住宅地は高級住宅地のままでいられるのでしょうか。


次回に続きます。