鈴木 優 土地親和論

鈴木優は、「土地親和論」を提唱し次世代における新しい社会創造のためには「地と人が一体であること」を実感することの大切さを説く。不動産鑑定士。不動産コンサルタント。

土地親和論 ‐ ついに心とモノのバランスをとるものとして( ③ 地と人は繋がっており一体であること)

不動産は高額な商品です。

その結果、売買の現場や相続では醜い争いがしばしば起き、また開発や投資に失敗した企業の倒産が際限なく起こっています。

 

私はこの問題点を感じ始めてから程なくして、現在の不動産を取り巻くこれら様々な問題は不動産の目に見える物質の部分の価値と目に見えない心(精神)の部分の価値を全く分離して考え取り扱っていることが原因であることも多いのではないかと考えるようになりました。

その結果、私の中では相変わらず土地への興味は大いにあるという状態は続いていましたが、不動産の鑑定という数字的側面の評価だけでなく街から受ける主観的な良い悪いの感じや自然の中での「地や不動産」自身の立ち居振る舞いといったものへの興味も急速に強まっていきました。

 

やがて私は、不動産、中でもとりわけその中心たる「地」について目に見える価値と目に見えない価値、これを結びつけるものは何かないか、このことに思いをはせるようになっていきました。

そんな中ブログ冒頭の神社の中で閃きがあったのです。

「これだ」。

確信しました。

「地と人は繋がっており一体である」。

あとはこの考え方を私の中で整理し、皆様のお一人でも多くの方に知っていただくこと、ということがこれから行う必要のあることだと思いました。

 

まだ少し論理に繋がっていない部分がありますので、「地と人は繋がっており一体である」ということについてもう少し説明をいたします。

私達と不動産との日常の関係について先日のブログで書きましたので引用してみます。

「そもそも不動産というと住宅や工場やオフィスや商業施設・ホテルなどの財産物がすぐ頭に浮かびがちですが、実際はそうではなく私達の周り全てが不動産なのです。

田も畑も山も森も公園も道も神社仏閣も何もかも。

その中で大切な食べ物を作ったり日向ぼっこしたり散策したり黙々と歩いたり参拝したり、これすべて不動産(または地)を利用しているということなのです。

夜寝ている時も同じです、不動産の上で寝ています。

つまり、私達の生活すべてが不動産とともにあるのです。

地とともにあるのです。

地とともに呼吸してきたのです。

私達と地は運命共同体なのです。」

このことに前日のブログで書いた文章の該当箇所を加えます。

該当箇所を繰り返します。

「人は土地や不動産に対して数字に表せないもう一つの価値観念を持っている、またこの価値観念はある人とある土地の間であたかも人と土地がキャッチボールをするような個別的主観的な関係から発生するという特徴を持っていて文字通り数字のような客観的な尺度だけで表すことが出来ない、ということです。」

 

私達は日常どこに行こうが寝ていようが常に隣に(足の裏かもしれませんが)ぴったりと寄り添っている不動産特に「地」と常に何か情報をキャッチボール出来る状況にあるのです。

どう見てもこの関係は一心同体でしょう。

ですから

「地と人は繋がっており一体である」

という概念に到達したということです。

なお蛇足ですがこの概念をさらに広げれば、地は地球上のありとあらゆるもの(海岸や海底を通じて海や魚とも)と接していて人と同様に何かキャッチボールしていると判断されますので、「地」をハブとして生きとし生けるものすべてが繋がっているということになります。

そうです、大地は母なのです。

また「地」をハブとして(心をハブとしてというべきかもしれませんが)、当然人と人もすべて繋がっていることになります。

 

では地と人はどのようにして情報のキャッチボールをするのか。

その答えは既に書きました。

人が地や不動産と接したとき主観的に良くも悪くも何か心に感じることがあるということです。

ですので、より能動的に意識的に人から地に心の声で呼びかけてみれば、地から何か答えるものがその人の心の直感として感じ取ることが出来るかもしれません。

そしてこの時感じたことを錯覚とは思わず情報を受け取ったという主観的な事実を真正面から受け止め、一つのリアリティのある情報として受け取る習慣をつけるようにすれば良いのです。

 

これにより従来活用してきた数値による目に見える客観的物質的な情報と目に見えない主観的精神的な情報の双方をその受け手である人とその心を通して結び付けていくことが可能になるのです。

更に両方の情報、つまり精神的情報と物質的情報を統合して見ていくことにより、これまで以上のより多くの情報を背景として色々なことを考え判断していくことが可能になるのです。

「モノと心、その両者を統合しバランスの取れたものにする」ということが可能になるということなのです。

 

以上皆が繋がっていることを実感し、そのハブつまり母である「地」への感謝の念をこめて(そもそも「地」は日本では非常に大切な神様ですね)、

土地親和論、

「地と人は繋がっており一体です」

したがって、

「これからは、人はそれを自覚し、地に足を付け、地に感謝し、地を清め浄化し、また地から必要なものを豊かに恵んでもらい、地やその元である地球のありとあらゆる生命やモノ・コトと助け合いながら、また人々も助け合いながら生きていくという哲学を基盤として、新しい社会やコミュニティを皆で知恵や工夫や情報を出し合い創っていきましょう」

という概念に至ったという次第です。

 

続く