鈴木 優 土地親和論

鈴木優は、「土地親和論」を提唱し次世代における新しい社会創造のためには「地と人が一体であること」を実感することの大切さを説く。不動産鑑定士。不動産コンサルタント。

土地親和論 ‐ オリンピックの開会式を見て感じた統合の意味(その4)

今回は、私はこの開会式を見て、今後何が必要かと感じたかについて書いてみたいと思います。

 

まずおさらいも含みますが私が開会式を見て感じたこと。

・ 東洋と西洋の接点としての日本という視点に欠けていたのではないか

 

なぜそうなったのか

・ 日本という場が東洋と西洋の接点であり、その結果としてくる東と西のミクスチャーの文化や生活、思考など様々なオリジナルなスタイルが日本の強みであり財産であるということに対する曖昧な認識、あるいは無理解。

 

今後どうすれば良いか

・ 日本が東洋と西洋の接点であり、その場から出てくるミクスチャーの文化や生活、思考など様々なオリジナルなスタイルが日本の強みであり財産であるということを認識すること。

 

と考えます。

 

そして今後上で書いたような認識をしていくためにはどうすれば良いでしょうか。

 

これまで何の前置きもなく東洋と西洋と書いてきましたが、これはただ単に場所が東洋、西洋と言う意味で書いてきたわけではありません。

東洋とは東洋の知、つまり無意識、精神的なもの、目に見えないもの、と言う側面が強いものです。

一方、西洋とは意識的、物理的、目に見えるもの、と言う側面が強いものです。

 

現在の日本は、ご多分に漏れずお金等の現世利益や社会的立場等目に見える物質的な価値観しか目に入らないおじさんやエリート若者等がいる一方で、タロットや星占い、スピリチュアルと言ったものが流行る等、典型的な物質的価値観と精神的価値観の分断が起きている状況です。

もちろんこの状況は一般的には戦後一貫として表向き物質的価値観全盛の中(いや明治以降一環としてというべきかもしれませんが)続いていたと言うことも出来るわけですが、より細部を見れば例えば戦後日本メーカーが無双していた時、メーカーの研究者が商品に人の名前を付けて犬のように可愛がり欧米研究者にいぶかしがられたり、日本発で東西の要素混ぜ混ぜのアニメ文化が出たりと、日本が日本的西洋的混ぜこぜのスタイルでクールと言われてきたことは確かなのです。

東洋と西洋の統合を無意識のうちで行い、それが成功へとつながることも多かったということかと思います。

 

しかし今日本は調子を悪くしています。

日本が調子を取り戻すためには、もう一度東洋と西洋の接点としての日本の立ち位置を、今度は意識的に回復することが必要であると、私は考えています。

そのことをオリンピックの開会式は、今日本に足らないものはこれだというカタチで示してくれたようにも思います。

 

東洋と西洋の接点の回復、それは意識と無意識、目に見えるものと目に見えないもの、精神的なものと物質的なもの、これらの統合と言うことを意味します。

前述したように既に日常生活では広い世代が長く西洋文化に親しんできました。

今度はその蓄積を背景として、意識して東洋の価値観、日本古来の価値観といったものを西洋的物資偏重の社会風土に再度融合していくこと、それが必要であるということです。

そして既に長く東と西のミクスチャーを行ってきた日本であればそれが出来るということです。

 

今明らかに西洋的な物資偏重の価値観では立ちいかなくなっていることが、コロナ下の混乱する欧米のさまを通して世界的にわかってきています。

日本が東洋と西洋の接点になるという立ち位置を認識しその方向に向かうということは、日本の再上昇のためばかりでなく世界が次世代に進んでいく上においても非常に重要なことであるということです。

 

では、日本人が東洋と西洋の接点の立ち位置になるにはどうすればいいか。

上述しましたように現在の日常生活と一般常識は物質的価値観に表向き偏重していますので、日本的な価値観へ気づき親しむといった要素の強い習慣や姿勢といったものを意識して取り入れていく必要が出てくるかもしれません。

 

いくらここ100年ちょっと近代化してきたといっても、日本の民族が数千年にわたって蓄積してきた精神や文化的なDNAはそう簡単になくなるものではありません。

伝統文化から日常のちょっとした発想や工夫に至るまで、その気になってよく観察すれば日本的なものがまだまだ多く発見されることかと思います。

これらのいわゆる私達の原点を再認識する、そういう姿勢が今まさに必要とされているというわけです。

こういった生き方の姿勢の変化を経て、日本人は改めて東洋と西洋、つまり精神と物質のバランスを取り戻し、再び輝きだすのであります。

そして私は上に書いた生き方の姿勢の変化を促す習慣の一つの方法として、「土地親和論」の概念を実感し実践していくということは意味を持っていると考えています。

 

私が「土地親和論」の概念を広めようとしてこのようなブログを書いているのも、日本がバランスを取れるようにすること、そしてそれを背景として世界の次世代創りに貢献していくこと、それが目標であるということなのです。