鈴木 優 土地親和論

鈴木優は、「土地親和論」を提唱し次世代における新しい社会創造のためには「地と人が一体であること」を実感することの大切さを説く。不動産鑑定士。不動産コンサルタント。

「人の子である」専門家を信じ込むという落とし穴とその後にくる情報開示(前編)

今コロナワクチンのブースターショットが良く話題に上ります。

私はテレビをあまり見ないのですが、時折見るテレビのモーニングショーや周囲の人間やネットの情報等によれば、テレビのワイドショーなどではこの分野の専門家という人が出てきて、コロナワクチンやブースターショットの内容、またその有効性について説明している光景を見る機会が少なくないようです。

 

またワクチン接種の可否については、医療の専門家であるかかりつけ医に聞いて判断するように、というアドバイスも良く耳にします。

 

ところで、ここで良く出てきた単語があります、そうです「専門家」です、良い響きです。

「専門家」、まるですべてを知る村の長老かはたまた魔法使いのような、一般の人には近寄りがたくまた逆らうことが許されない神聖な権威も感じさせる言葉でもあります。

 

実はかく言う私も「専門家」の端くれです。

一応「不動産鑑定士」という資格を持っていますので

この資格を知っている人には、私は不動産に関して宅地建物取引主任者より上位に位置するそれなりの見識を持っていると期待される人物、つまり不動産の「専門家」ということになります。

 

しかし社会常識としてかく言う不動産の「専門家」と言われる私ですが、不動産に関する幅広い諸事情に関して「知っているか」というと、現実はそうではありません。

幸い現在の私は鑑定評価の現場にいるわけでなく、また不動産業界や特定の不動産会社に深く関係しているわけでもなく、ただひたすら今の社会では異端で逆張りとも映るような「土地親和論」を唱えているだけでそれ以外は知らないことは知らないと気軽に言える立場におりますので、知らないからと言ってそれほど社会的に害悪な存在になっているわけではないと思います。

 

またそんな立場ですので、例えば「今投資対象として不動産が人気と言われますが、どんな不動産に投資したらいいでしょうか」と素人に近い人に問われて、「危ないから止めとけ。そもそも不動産を投資の対象とするなど近未来の次世代的価値観から言ってもっての外のこと」などと平然と答えることが出来てしまいます。

 

しかし、これが現在の不動産業界の第一線にいる「専門家」となると話は違ってきます。

例えば大手不動産会社に所属している「専門家」が時々テレビに出てきてコメントする時がありますが、そんな時仮に心の内では私と同じような持論を持っていたとしても、赤裸々に「不動産投資など売り時が大変難しい、だから今は危険だから止めとけ」とは言えず、せいぜい「現在の不動産は一部で投機的動きがみられるところもありますので、あくまで個別の物件主義で慎重に投資対象を選別していく必要があります。ですがそこさえ間違えなければ現在から将来にわたって不動産は有望な投資対象であるということは変わりありません(ですので弊社のご提供する有望な物件に安心して投資してください)」というような表現しかできないのです。

 

そうです、「専門家」と言えども「人の子」なのです。

自分の現在の立場や自らを取り巻く様々な制約のもと、「専門家」として果たすべき法令に違反しない範囲で逃げを打ちながら、自らの関係の深い先に忖度した行動や言動を取らざる負えない時があるのです。

それも優秀な専門家であればあるほど、しばしば。

特に相手が素人に近い時は相手が疑問を持ちにくいのを良いことに、(本当に傷つけたくない自分に極めて近しい相手以外に対して)尚更。

 

もちろんすべての「専門家」がこのようであるとは言いませんが、今のご時世正直な「専門家」はあまり珍重されていないようです。

 

専門家の言うことを鵜呑みにすると思わぬ落とし穴に嵌ってしまうことも少なくないということです。

 

ここで話しをワクチンに戻します。

 

続く