鈴木 優 土地親和論

鈴木優は、「土地親和論」を提唱し次世代における新しい社会創造のためには「地と人が一体であること」を実感することの大切さを説く。不動産鑑定士。不動産コンサルタント。

逆張りのすすめ(その2)

前回のブログの続きになります。

 

前回のブログで私は、現在は明治維新に匹敵する大変動期にあり、その中での処世術としてはこれまでの定番、常識、定石そして世間の目に引きずられないようにして、逆張りを恐れないことであるという趣旨のことを書きました。

 

ここのところをもう少し説明いたします。

 

往々にして大変動期の前というのは、天下泰平気が比較的長く続いていることが多いです。

今回もご多分に漏れずそうです。

そういう時というのは、皆様の頭の中に定番、常識、定石そして世間の目というものがこびりついています。

 

ところが大変動期にはこれまでの定石というものが全く役に立たなくなるというのが通り相場です。

その理由は、これまでの常識というものは時の社会体制や秩序の序列の中でその効力を発揮するものが多いのですが、大変動期には新しい体制の再構築という嵐の中でその秩序や序列というものが陳腐化し役に立たないものになってしまう可能性が高いからです。

ですから社会における処世術として何ら疑問を抱くこともなくこれまでの定石どおりに立ちまわっていたのに、大変動期がやや落ち着いて改めて身の回りを見てみると、社会的な梯子が外れてただ宙に浮いているだけのいわば社会的経済的丸裸状態の姿になってしまった、というような悲劇(を通り越してもはやシュールな喜劇になってしまうかもしれませんが)も起こってしまうのです。

 

しかもこのようないわゆる「喜劇的な目」にあう人は、当然これまで比較的良い立場にいた人たちや保守的な人たちが多いです。

その結果精神的な打撃はより大きなものになります。

 

それではこのようなことを回避するにはどうしたら良いのでしょうか。

それは定石とは反対のことを行うことです。

つまり逆張りです。

でもリスクはないのでしょうか。

いや当然ハイリスクです。

ですから、リスク分散のために逆張りオンリーというわけにはいかないかもしれません。

バランスが大切です。

しかし常にリスクのある逆張りを行うことを時に辞さないという覚悟が必要になるというわけです。

変動期には自らリスクを取りにいかなければならないときがあるというわけです。

 

なぜなら定石だけの手法だけではもっとリスクがあり、しかもローリターンだからです。

幕末の家柄だけでのほほんと生きていた武士たちを見ていればお判りになるでしょう。

何もしないで家柄と体制だけを頼りに生きていた人たちは維新の嵐の中でなすがままに落ちぶれていきました。

それに対して倒幕佐幕の立場を超えてその後の明治の社会で活躍の場をもぎ取っていったのは、腹を括って逆張りのリスクを取っていった人たちでした。

 

今の時代も同じです。

 

しかし個人に立ち返ればどうやって逆張りをしたら良いかわかりませんね。

ではどうしたら良いか。

まず最初に必要なことは、今が大転換期であるという自覚を持つことです。

次にその自覚を背景として、何が今とこれからの自分や自分の周辺や自分を取り巻く社会に必要であるかを、まっさらな目で見るようにすることです。

単純なようですが、今必要なのはこの態度かと思います。

 

これは言い換えればどういうことかというと、土地親和論に関するブログでよく使う言葉ですが、この目に見える世界での執着を薄くするということです。

これにつきます。

この態度を持つことにより心の視界が広がり、その結果逆張りのリスクを取るべきタイミングが見えるようになり実際の行動も起こしやすくなるというわけです。

つまり眼下の小さな成功に引きずられなくなり、長期的な着地点に関する視野のもとでの現在とるべき指針(それが必ずしも今現在の成功ではないように見えるようなものでも)を個人生活の中で選択していくことが出来るようになるということです。

 

いずれにしましても以上の議論の「鍵」は、今が大変動期であるか否かの見極めです。

そして私は、今が大変動期であると確信しています。